2011年5月8日日曜日

深淵なる名機 ライツミノルタCL(LEITZ minolta CL)

 私は70年代前半頃、小学生のときに父親が自営していた学習塾に通っていた。
 塾は自宅から遠く離れていたので父が車で通勤するときに一緒に連れて行ってもらって、また塾が全部終わったら一緒に車で帰ってくるという風だった。自分の授業が終わってから帰る時間までおおよそ2時間くらいの時間があっただろうか。その待ち時間を使って、1人駅前周辺をぶらつくのがいつもの決まりだった。駅前周辺には5、6軒カメラ屋があっていつも1軒1軒カメラ屋のショーケースを眺めては悦に浸っていた。既に小学生のときにカメラ好き(いわゆるカメラオタク)の兆候があったのである。当時特にお気に入りだったのはオリンパス35DCやキャノネットGⅢなど、大口径レンズを搭載したコンパクトカメラだった。コンパクトカメラと言っても当時のカメラは今のプラスティッキーさなど微塵も無くて金属の塊感が溢れていた。その他には16mmカメラになるが、ミノルタ16MG、16PSなども精密な感じで好きだった。そんな中、コンパクトカメラと同じような大きさながら一際値段の高い不思議なカメラがあり私の興味をかき立てた。ライツミノルタCLである。
 カタログを貰い、眺めていると何と、レンズが交換できるという、コンパクトカメラには無い特徴があった。一眼レフカメラではないのに、コンパクトカメラのように小さいのになぜかレンズが交換できるカメラというのが、非常に特異な存在で、知る人ぞ知るみたいな製品だと感じていた。このカメラは後々に渡って私の記憶に深く刻まれて、私の中での『カメラの原点』みたいな商品像として記憶に染みつくことになった。
 その後私が手がける、ミノルタ・コニカミノルタの一眼レフカメラにもこのライツミノルタCLの思想・姿・形の一端が多少デフォルメされながら引き継がれていく。